reportレポート
鹿児島県青年経営者部会では平成29年10月2日(月)から4日間、香港の福祉現場の視察研修を行いました。 幼稚園と福祉機器販売会社、老人ホームを視察しましたが、日本の社会保障、福祉政策がいかに優れているか実感するものになりました。 幼稚園は3階建てのビルのなかで350人の園児が元気に遊んだり、学んだりしていました。幼少期から広東語、北京語、英語の勉強をしている所はさすが私立の幼稚園であると感じました。入園試験もあるほど人気のある幼稚園だそうです。 設備はしっかりしていましたが、園庭がほとんどないのが残念でした。香港の土地の高さを思えば致し方ないのでしょう。 福祉機器販売会社は、福祉機器販売と相談業務、ミニデイサービスの事業を行っていました。香港ではまだ福祉用具の認知度が低いものの、多くの人が関心を持っているようです。ただ、製品はヨーロッパからの輸入品がほとんどで、一般の人々が購入できるのかが疑問でした。 毎年、国際福祉機器展(保健福祉広報協会・全社協主催)に視察に来ているそうで、「日本の福祉は素晴らしい」としきりに言われていました。 老人ホームには、雑居ビルをつい立てで改装した2畳あるかないかの個室が用意されていました。ベッドとポータブルトイレ、簡単な身の回りの物を置いていっぱいいっぱいの状態でした。その施設には60人ぐらいの高齢者が生活していました。日本より南の島で、クーラーもない部屋でしたが、ひと月の利用料が11万~15万円だそうです。それでも入居者の90歳になる女性が「私は幸せ」と語っていたのが記憶に残りました。 宗教を大切にし、目上の人を敬ってきた文化がどんどんと薄れ、社会的弱者が片隅に追いやられている現状は一昔前の日本と変わらないと思います。これからの香港の福祉の充実を切に願います。 豊かになった日本であっても、物があふれ、思いやりの心を失いつつあると感じています。だからこそ、目上の人を敬い、感謝の気持ちを持って社会福祉法人の使命を果たしていかなければと強く思うことができました。日本では経験できない文化や風習にも触れることができ、充実した視察研修になりました。
(報告・鹿児島県青年会 会長 山内義宣)